MSSF(Motor Sports Safety Field)では、安全なクローズドコースを貸し切り、国家資格を有するプロの教習指導員が考案した実践的なカリキュラムを実施しています。
私たちが目指しているのは、「速く走ること」ではありません。
安全に、ゆとりを持って、自分のバイクをしっかりコントロールできるようになること。
ここでは、MSSFが大切にしている練習課題の一部をご紹介します。
1.朝礼と準備体操(柔軟体操)
心と体を整え、安全に学ぶための最初の一歩



【課題の目的】
遠方からの移動による疲れ、初めての場所ならではの緊張、あるいは「今日は頑張るぞ」という高ぶった気持ち。
スクール開始時の参加者の皆様の心身の状態は、それぞれ異なります。
そこでMSSFでは、バイクに乗る前に全員で準備体操を行い、固まった筋肉をほぐすとともに、安全に学ぶための心の状態を整えます。
一見すると地味に見えるかもしれませんが、怪我の予防と集中力の向上につながる、非常に大切な時間です。
安全に学ぶためのスイッチを入れる、MSSFの大事なスタートです。
2.慣熟走行(ウォーミングアップ走行)
バイクと対話し、気持ちを落ち着ける「走る準備体操」

【課題の目的】
人の準備体操が終わったら、次は「バイクの準備体操」です。
指導員を先頭にしたカルガモ走行で、無理のないペースでコース全体を右回り・左回りと巡ります。
この段階では、強いブレーキ操作は控え、原則として一定のギアで走行します。
先導する指導員が、変速に追われない無理のないペースをつくるため、参加者の皆様はシフトチェンジに気を取られず、前のバイクの軌跡やラインに集中することができます。
きれいな走りを見て真似するため、公道よりも少しだけ車間距離を詰めて走るのもポイントです。
もちろん、初めての環境で戸惑い、途中で遅れてしまったり、止まってしまったりしても問題ありません。
現場の指導員が状況を見極め、安全に全体のペースを整えますので、焦らず安心してついてきてください。
滑らかな操作でタイヤを適度に温め、その日の練習エリアを自分の目で確認する。
そうすることで緊張がほぐれ、平常心でその後の練習に臨めるようになります。
この慣熟走行は、安全な練習につながる大切なウォーミングアップです。
3.ライディングポジションと基本操作の再確認
型にはめるのではなく、一人ひとりに合った「ベストポジション」を見つける


【課題の目的】
バイクの乗車姿勢には、実は「誰にでも当てはまる一つの正解」があるわけではありません。
参加者の皆様は、身長や体格、年齢、体力、そして乗っているバイクの種類もそれぞれ異なります。
ネイキッド、スポーツ、アメリカン、オフロードなど、車種が違えば自然な乗り方も変わってきます。
また、腰に不安がある方や体力面に心配を抱えている方もいらっしゃいます。
そのため、教習所の教科書通りの形に無理に当てはめようとすると、かえって体に力が入り、本来の自然な操作ができなくなってしまうことがあります。
MSSFでは、この項目にしっかりと時間を設け、一人ひとりの身体や車両に合わせた「その人にとってのベストポジション」を見つけるための個別指導を大切にしています。
たとえば、「ヘルメットの被り方が少し深く、前方の視野が狭くなっている」といった、ご自身では気づきにくい装備面の盲点から丁寧に確認します。
視野が確保できていない状態では、「遠くを見ましょう」と言われても、実際にはうまくできないからです。
また、スクール中は疲労によって姿勢が崩れることもありますが、逆にその“力が抜けた状態”が、結果として非常に自然で良いフォームにつながることもあります。
プロの指導員が、一人ひとりの癖や体の変化を見極めながら、緊張を与えず、最も自然で疲れにくい運転姿勢を一緒に探っていきます。
バイクを意のままに扱うための土台となる、非常に重要なセッションです。
4.実践的なブレーキング技術(発進・停止・目標制動)
「止まる技術」が「曲がる技術」につながる。安全と安定の要となる課題

【課題の目的】
スクールに持ち込まれるバイクは、大排気量車から小排気量車までさまざまです。
スポーツタイプ、ネイキッド、アメリカン、オフロードなど車種も幅広く、さらに運転者の身長や体重も異なります。
実は、こうした条件の違いは、ブレーキ時の車体姿勢の変化に大きく影響します。
しかし、どのような条件であっても大切なのは、
「誰もが安定して、確実に止まれること」
です。
止まれる・止まれないに大きな個人差があってはならない。
それが、このブレーキング技術においてMSSFが重視している考え方です。
この課題の本当の狙いは、単なる急制動ではありません。
制動時に大きく変化する車体姿勢をいかに安定させるか、つまり確実で安定したブレーキ操作を身につけることにあります。
そして、この安定した制動技術は、やがてコーナー進入時の「曲がるためのブレーキ」にもつながっていきます。
止まる技術は、曲がる技術へ直結しているのです。
MSSFでは、状況に応じてグループ分けなどを行いながら、以下の段階を踏んで実践します。
① 短距離での発進と停止
短い距離の中で、発進と停止を繰り返します。
アクセルとクラッチの連携を理解し、二輪車本来の加速力を引き出す感覚を養います。
これは一般道の交通の流れにスムーズに乗り、自分自身が周囲の障害物にならないためにも重要な基礎となります。
② 目標位置への制動
対向車のいない安全な環境で、狙った位置でしっかり止まる練習を行います。
ここでは、「思ったよりしっかりブレーキをかけても、バイクは安定して止まれる」という感覚を、自分の車両で体験していきます。
バイクごとの特性や安全マージンを知るうえでも、非常に大切な練習です。
③ 曲がれる速度への制動
コーナー進入を想定し、「止まるためのブレーキ」だけでなく「曲がるために速度を整えるブレーキ」を学びます。
安全に曲がるためには、どの程度まで速度を落とせばよいのかを、実践を通じて身につけていきます。
まとめ
ブレーキは、目線、姿勢、荷重、車体の特性などによって、状況ごとに求められる操作が大きく変わる、とても奥深い技術です。
短時間で完全に身につけることは難しいかもしれません。
しかしMSSFでは、その感覚をつかむための確かな第一歩を、丁寧にご提供します。
5.スラローム(均等・点間)
スキーのように軽快に。連続するリズムの中で「バイクとの対話」を楽しむ

【課題の目的】
教習所のスラローム(4.5m間隔)の応用編として行う課題ですが、MSSFでは極端なタイムを競うような設定にはしません。
排気量や車種を問わず、それぞれの参加車両に合わせて通過しやすい均等な間隔でパイロンを配置し、多くの本数を反復して練習していただきます。
これはまさに、公道では体験できないクローズドコースならではの醍醐味です。
次々と迫ってくるパイロンを、右へ左へと連続して切り返していく。
速度が上がるにつれて操作はより繊細になり、バイクが「重く感じる瞬間」と「軽く感じる瞬間」が交互に訪れます。
まるでスキーのように、沈み込みながら伸び上がるようなリズミカルなアクセルワークと機敏な操作を繰り返すことで、ご自身のバイクの特性や、曲がるためのきっかけとなるタイミングが自然と身体に染み込んでいきます。
一般道でパイロンが連続して並ぶ場面はありません。
しかし、この練習で身につくのは単なるパイロン通過の技術ではなく、バイクと深く対話しながら、連続した操作を滑らかにつなげる感覚です。
その感覚は、ツーリング先の山道やワインディングでの切り返し、後半になって高まりやすい速度のコントロールにもつながっていきます。
バイクが意のままに動く楽しさを感じるための、最も楽しく、そして最も近道となる課題のひとつです。
6.旋回・Uターン(8の字・ゆとりを持った円旋回)
「曲がれない・怖い」を、「曲がるのが楽しい」へ変えるために
※ゆとりを持ったUターン練習、またはオーバル走行(円旋回)をしている画像を挿入
【課題の目的】
多くのライダーが苦手意識を持つのが、「Uターン」や「タイトなカーブ」です。
転倒が怖くて足が出てしまう、腕に力が入ってしまう。
それは恥ずかしいことではなく、ごく自然な防衛反応です。
だからこそMSSFでは、競技のようにハンドルを限界まで切り、パイロンに張り付くようなシビアな旋回は求めません。
転倒のリスクばかりが高くなり、参加者の皆様にとって必要以上にハードルの高い練習になってしまうからです。
その代わりに、恐怖心を感じにくいよう、パイロン間隔や旋回半径にしっかり余裕を持たせた、ゆとりある旋回練習を行います。
① 定常円旋回(大きな円を描き続ける)
同じ半径、同じ速度で円を描き続ける練習です。
この課題では、バイクの傾きの維持、目線の送り方、アクセルや半クラッチを一定に保つ感覚を身につけていきます。
② オーバル走行(楕円を描く)
直線で加速し、減速してパイロンを回り込み、再び加速する。
この流れを繰り返すことで、実際の交差点での右左折やUターンに近い感覚を学ぶことができます。
こうした「ゆとりを持った円旋回」を重ねていく中で、
「目線を向けると、バイクはこんなに自然に曲がるんだ」
「少しアクセルを開けると、車体がこんなに素直に起き上がるんだ」
という感覚に気づけるはずです。
私たちは、型にはめてやり方を押し付けるのではなく、安全な広いコースの中で恐怖心を取り除きながら、バイクが曲がる楽しさをゆったりと体験していただきたいと考えています。
7.総合コース走行(実践的なライン取りと安全確認)
すべての課題はつながっている。点と点が「線」になる瞬間

【課題の目的】
午後の後半には、教習所内のさまざまな道を組み合わせた、変化に富んだ総合コースを走行します。
受講中は、一つひとつの課題を個別にこなしている感覚になりやすく、最初はそれぞれがどうつながっているのかイメージしにくいかもしれません。
しかし、これまでに取り組んできた「ポジション」「慣熟走行」「ブレーキング」「スラローム」「旋回」は、決して別々のものではありません。
それらはすべて、ツーリングや山道、変化の多い一般道路を安全に走るために、互いに連鎖しています。
この総合コースで大きな鍵となるのが、自動車学校ならではのS字やクランクといった狭路区間です。
これらは、私たち指導員が国家資格を取得する過程でも繰り返し鍛錬する、非常に実践的な課題でもあります。
ただし、スクールにおいてその厳しさをそのまま参加者の皆様に求めることはありません。
天候や参加台数、排気量や車種の違いに応じて、すべての方が無理なく安全に走行できるよう、広い教習所コースを最大限に活かした「ツーリング模擬コース」としてアレンジして設定します。
一日の総仕上げとなるため、コーナーが苦手な方には少しハードルが高く感じられる場面もあるかもしれません。
しかし、直前に学んだブレーキングや目線の送り方を信じて走り切れたとき、ご自身の走りが驚くほど自然で滑らかになっていることに気づくはずです。
文字や理屈だけでは分からなかった基礎の一つひとつが、ここで初めて一本の「線」となり、総合的な安全運転としてつながっていきます。
その達成感を、ぜひご自身の身体で実感してください。
8.【実践編】レインボースポーツ(西コース) サーキット体験走行
教習所で培った基礎を解き放つ。ツナギ不要で味わう「風になる体験」

【課題の目的】
MSSF のもう一つの大きな柱が、レインボースポーツ(西コース)を貸し切って行う実践スクールです。
四日市南自動車学校でじっくりと身につけた基本操作と安全マージンを、サーキットという非日常の空間でのびのびと発揮し、その成果を実感していただくための「応用・実践の場」として開催しています。
午前中は、サーキット内の限られたスペースを有効に活用し、制動やスラロームなどの基礎トレーニングを行います。
※天候や開催季節により、基礎練習の時間が短縮される場合があります。
午後からは、敷地の高低差やコース構成を活かした8の字走行で身体をしっかりとほぐした後、障害物をすべて撤去したコースで「サーキット体験走行」へと進みます。
ここで大切にしているのは、タイムを競うことでも、無理なスピードを出すことでもありません。
対向車も歩行者も現れない、見通しの良い広いコースだからこそ味わえる、**「自分のペースで気持ちよく走り、バイクと一体になる爽快感」**を楽しんでいただくことです。
自動車学校で学んだ「確実なブレーキ」と「目線」の技術があれば、サーキットのコーナーも驚くほど自然に、そして安全に曲がれることを実感していただけるはずです。
走行は、初めての方でも安心できるインストラクター先導走行から始まります。
その後は、時間が許す限り、ご自身のペースで楽しめるフリー走行枠も設けています。
さらに今回は、新たにレディース枠も設け、ペース配分に配慮したインターバル交代制を導入することで、誰もが気兼ねなく走れる環境を整えました。
そして、このレインボースポーツでのスクール最大の魅力は、渡辺社長の特別なご配慮により、
「サーキット専用の革ツナギが不要(※規定のプロテクター装着で走行可能)」
という点です。
「サーキットを走ってみたいけれど、高価なツナギがないから……」と諦めていた方でも、普段のツーリング装備に必要なプロテクターを加えることで、安全にサーキットの風を感じていただけます。
「自動車学校での基礎」と「レインボーでの実践」。
MSSF が用意するこの2つのステージで、あなたのバイクライフをさらに豊かで安全なものへと進化させていきましょう。

9.【新企画予告】みんなでレインボー本コースを走ろう!

自身の現在地を知る。マンネリを打破する、最高のリフレッシュへ
【企画の目的と現在地】
今年度の MSSF の新たな目標として、現在「レインボースポーツ本コース」での体験走行企画を鋭意進行中です。
クローズドコースでの反復練習は上達に欠かせません。
しかしその一方で、時には練習に慣れが生じ、「マンネリ」を感じてしまうこともあります。
そこで私たちは、「最高のリフレッシュ」という意味も込めて、これまで積み重ねてきた練習の成果と、今のご自身のライディングレベルを、本格的なサーキットという広大なステージで確かめていただくための特別企画を考えています。
「初心者が安全に走れるサーキットとのコラボレーション」を必ず実現したい。
その思いから、私たちは数多くのサーキットへ足を運び、直接交渉を重ねてきました。
その結果、私たちの理念に深く共感してくださったレインボースポーツ様から、参加者の皆様にとって最良の条件をご提示いただくことができました。
現在、過去にご参加いただいた皆様へ事前アンケートを実施中ですが、最初に「ぜひ参加したい!」と力強いお返事をくださったのは、なんと女性ライダーの方でした。
MSSF のスクールだからこそ実現できる、誰もが安心して“風になれる”本コース体験。
その手応えを、私たちはすでに感じています。
詳細なスケジュールや内容が決まり次第、改めて正式に発表いたします。
これまでの教習の枠を超えた圧倒的な爽快感と、ご自身の成長への気づきを、ぜひ楽しみにお待ちください。
MSSFからのメッセージ
MSSFは、「できないこと」を恥じる場所ではありません。
大切なのは、あなた自身と、あなたのバイクに合った安全な乗り方を見つけていくことです。
私たちは、焦らず、何度でも挑戦できる環境を大切にしています。